明日のために - 鈴鹿サーキットレーシングコース編 その3
さあ、どうやって走りましょう?

ストレートは2.8%の下り。クルマが坂を下っている時、加速中だとしても荷重はどこにかかっていますかね?
1コーナー手前でブレーキング。ダウンシフトしてターンインするけど、ターンインした直後に回っていた人がいましたね。アンダーステア(以下アンダーと略)が出て飛び出した人もいた。
下り坂に加えてブレーキングで荷重がさらに前に移動しているのですから、前後タイヤのグリップレベルがどうなっているか想像できるでしょうに。

1コーナーのターンインが終わったらスロットルを開けてリアに加重を移して安定させ、2コーナー手前で再度ブレーキングとダウンシフト。しかしその時に視界に入ってくるのはまだ下っているから2コーナーのアウト側エスケープソーンだけ。でもそこから進むのは右後方にあるS字に向かってなのに。フルスロットルで2コーナーアウトの縁石に寄せるためにはどこを見ていたらいいのでしょうかね?

2コーナーを立ち上がると短いながらも直線があるので加速できる。S字のひとつ目は左コーナーだけど、ギアはそのままでもブレーキングが必要にる。
ここはトレイルブレーキングが有効なのでしょうかね?それともすぐに右に転舵しなければならないので前後タイヤのグリップバランスに気をつけたほうがいいのですかね?

S字も逆バンク手前まではけっこうな登り。登っている上に、速度は上がらないけどクルマは加速状態。意識するとステアリングの手ごたえが小さくなっている。
鈴鹿サーキットの縁石はよくできている。縁石の中央がクリッピングポイント、もしくはクリッピングラインの中心と考えてさしつかえないので、注意すべきはその地点でのクルマの向きとエネルギーの向きが一致して接戦方向に向いていることでしょうか。

ステアリングを自分の力(意思)で戻すことが大切なのがここ。戻ろうとするステアリングに抵抗しているだけだと、いつまでもニュートラルにならず、結果的にクルマに逆ロールを起こさせることになるから。戻せなかったら、その手前の舵角が足りているか確認する必要あり。

逆バンクだからと言って、カントが逆についているわけではないのに、回ったり出て行ったりするのはなぜですかね?
YRSオーバールやYRSトライオーバルの下のコーナーと同じで、路面が折れて下り始めているだけ。コーナーを進むうちに斜面を横切ることになるぐらいわからないのでしょうかね。起伏で前後のグリップが変わる場合にはどうするのでしたっけ。4本のタイヤのグリップを全て均等にコーナリングに振り分けられる準備が必要だったはずですよね。

逆バンクのラインは鈴鹿サーキットで最もきつい7.8%の登りになるダンロップコーナーへのアプローチに影響大。ダンロップコーナーはコーナリング中にアップシフトするぐらいの高速コーナーなのだから、S字を含めてこの区間はラップタイムに大きな影響あり。だからと言って頑張るのではなく、登りになればクルマは路面にはり付くから、注意する点としては逆バンクとダンロップコーナーの間でクルマとエネルギーの方向がどこを向いているかですかね。

ダンロップコーナーを抜けると遠くにデグナーのひとつ目が目に入るけど全容は見えない。下っているからね。
昔は難しくも面白いコーナーだったのけど、改修後は浅い短いコーナーになってしまった。短いコーナーにターンインする場合の前後グリップのバランスはどうするのでしたっけ。ダンロップコーナーから距離があるので明確なブレーキングが必要だしダウンシフトも必要となると、ブレーキを残すしたほうがいいのか、前輪が逃げなければよしとするのか。ここはインにつきすぎるとくぼみがあるから注意。

デグナーふたつ目まで加速はできるけど、ここはターンインまで先が見えない。キチンと速度をコントロールしてキチンとフルトラクションにして110Rを目指したほうが効果的かなと。

110Rは直後にヘアピンを控えていることもあって、しかもヘアピンの進入から先はずっと登りになっていることもあって、走り方を迷うところ。
110Rを全開で回ってもヘアピンまでにブレーキング、ダウンシフトできる人はいいけど、そうでない人は110Rを速度控え目に回ったほうが、ヘアピンから先の加速に行かせるかも。
ヘアピン立ち上がると200Rから先が全く見えないけれど、いわゆる高速コーナーだから全開で行きたい。ならば2輪用シケインのあたりでインにつく時のエネルギーの方向を調整しておかないと、下っていって250Rにさしかかる時に荷重が対角線に移動する結果になりかねないので注意が必要かな。

ヘアピンから登って下って登って、また下り始めるとスプーンカーブの全容が見えるはず(視野を広く持っていれば)。
スプーンカーブひとつ目も下りのコーナー。昔はふたつ目手前までダウンシフトはしなかったけれど、今はRが小さくなったのと勾配が急になったのでターンイン手前でブレーキングとダウンシフトが必要。
富士スピードウエイのショートコースの1コーナーみたいに、コーナー手前が下っていてその延長でコーナーが始まる時には、フロントが逃げるか、逃げなければ速度が低いからか、見極めが難しい。
フロントが逃げない範囲でブレーキを引きずる必要はあるかも知れないけど、クルマの姿勢が前のめりだとそれが強調されるから、やはり程度問題。

スプーンカーブふたつ目も下り。ひとつ目に劣らず回ったり出て行ったりが多い。なぜそうなるかはなはだ疑問なのだけど、原因はやはり荷重の対角線上の移動だろうね。ではそうならないためにどうするか。下りなのだから探りながら、おだやかに前後タイヤのグリップをバランスさせることしかないでしょうな。

スプーンカーブを立ち上がると鈴鹿サーキットで最長の1.2キロのストレート。途中にキンクがあるけど全開。ほとんどのクルマが最高速を記録したあとに130Rをクリアしなければならない。

130Rも昔のほうが面白かったけど、変わってしまったから仕方ない。なにしろ出口のRが大きくなったから、前より難しくはなくなった。しかし、高速コーナーであることと短い(浅い)コーナーであることを考えると、走り方のセオリーを無視しては安全に速く走れない。

昔はずっと同じ130Rだったからターンインからイーブンスロットルで走ったものだけど、今は最初の85Rをこなすことが第一義だから、ターンインの瞬間までブレーキを引きずってもバランスを崩すことにはつながらないかも。ただし、その前の荷重移動のさせかたによっては前のめりのままターンインすることになってリアがブレイクする可能性あり。

シケインは個人的に好きな種目ではないので、ここはひとつ、直線を控えているのでシケイン1個目より2個目を大事に、速度を殺さないように抜ければいいかなと。
で、シケインの立ち上がり方によっては、最終コーナーを加速中にエネルギーがアウト側に向いていることがある。これは注意が必要。飛び出したらエスケープゾーンがないし、ストレートエンドの到達速度にも影響する。

1周が長いからいろんなことを考えたりするかも知れないけど、欲張るのはダメ。とにかく謙虚に、クルマさんんが走りやすい状態を作ることを最優先する。

遠方からの参加が多いので、せっかくなら2時間は走りたい。でも2時間ぶっ通しだと疲れる。っていうので鈴鹿に無理を言ってインターバルを設けたけど、それでも1時間は短くない。だから集中力が途切れがちだったり、迷いがあったり、何も意識していない自分に気がついたりした時は、口を開けてみるとか、片手をブラブラさせるとかして、必ずリセットすること。走行中にリセットができない人は、とりあえずピットに入る勇気を持って。

とにかく無事に、そして楽しく終わるように務めて下さい。


トム ヨシダ