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Go − Circuit No.156 (02/24/03発行)

-------------------------------------------------------------- Taste of USA ----
●クルマを走らせるのは楽しい。速く走らせるのはもっと楽しい。●しかし安全に速く走
らせることが難しいのも事実。走らせ方を理解していないと楽しくもないし危険でさえあ
る。●クルマをもっともっと楽しむために「クルマさんとの正しいお付き合いの仕方」を
学びませんか。●当サイトからの提案です。

<<標語>> 公道では安全運転、サーキットではそれなりに。
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1) 試験的YRSオーバルスクール終了

2) 筑波スプリント、筑波エンデューロ参加申込み受付け締め切り迫る!

3) YRS通信販売開始

4) 筑波サーキット公式ドライビングスクール受講者募集中

5) YRS卒業生へお知らせ

6) アメリカモータースポーツ三昧ツアー

7) 筑波ライセンスについて

8) ハウツースタート 何から始めよう

9)温故知信 その6 トム ヨシダ

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1) 試験的YRSオーバルスクール終了

2月21日に浅間台スポーツランドでYRS試験的オーバルスクールを開催しました。

2年も前に筑波サーキットドライビングワークショップの練習で楕円形の定常円走行を取
り入れたのも、オーバルコースを走ることがドライビングスキルを見直すために非常に有
効だからです。そう。ドライビングスキルの見直しです。ドライビングスキルの向上に効
果があるのはもちろんですが、オーバルコースから得られるものはもっと広範囲にわたり
ます。つまりクルマを運転する時の操作の全てが凝縮されているからです。

試験的に開催したこともあってカリキュラムはぶっつけ本番。当初の予定を全て消化する
には時間が足りませんでしたが、YRSがオーバルスクールでやりたいことはひと通りで
きました。参加したのはサーキットが初めてに近い方2名。残りはYRSの筑波スプリン
トに参加している方やYDWAの常連など12名。

オーバルスクールを受けた感想は聞いていませんが、外から見ていた限りこの日の終わり
には少なくとも全員がカーコントロールについて新しい発見をしたように思います。

オーバルコースを走るメリットは反復練習がしやすいことです。そして経験にかかわらず
誰でもクルマの限界を引き出して走ることができる点です。クルマは限界に近づくほど繊
細で正確な操作を要求します。その操作を身体で覚えるにはオーバルコースがうってつけ
です。速く走ることが目的でなくても、クルマを正確に操ることが目的であってもオーバ
ルコースの走行は役に立ちます。特にこれからサーキットを走ってみようという方にはお
勧めです。

次回オーバルスクールの日程は決まっていませんが、要望が多ければ近いうちに開催した
いと思っています。

・試験的オーバルスクールラップタイム
http://www.avoc.com/4circuit/4circuit_record/oval_ydwa/ydwa0221oval.htm
・YRSオーバルラップタイム総覧
http://www.avoc.com/4circuit/4circuit_record/oval_ydwa/frame_ydwaoval.htm

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2) 筑波スプリント、筑波エンデューロ参加申込み受付け締め切り迫る!

3月8日に開催される筑波スプリント、筑波エンデューロ第2戦。既に申込みを受け付け
ています。申し込まれた方もいます。まだ申し込まれていない方はお早めにお申込み下さ
い。3月28日(金)までに申し込まれるとエントリーフィーの早割りが適用されます。

・筑波スプリント規則書
http://www.avoc.com/2school/2yrs/yts_guide.htm
・筑波エンデューロ規則書
http://www.avoc.com/2school/2yrs/yte_guide.htm
・3月8日YRS参加者リスト
http://www.avoc.com/2school/2yrs/yrs_entry.htm

尚、筑波エンデューロに関してはYRSの車両の貸し出しを行います。エンデューロに参
加希望の方でクルマが用意できない、チームメンバーが足りないという方はお気軽にお問
い合わせ下さい。

mailto:mail@avoc.com

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3) YRS通信販売開始

ユイレーシングスクールではモータースポーツ用の商品を選りすぐって通信販売を行いま
す。第1弾はDV用の0.3倍ワイドアダプター(コンバーションレンズ)とYRSオリジ
ナルビデオ「ミヂェットレースへの招待」。

ワイドアダプターはひとつずつ手加工で作られた逸品です。ヘッドレスト直後にDVをマ
ウントしても左右のAピラーが視野に入るほどの広角です。ズームをワイド側にして使い
ますが、現在ソニーのDVに多い30mmと37mmのフィルター径用コンバーションレ
ンズを在庫しています。

・0.3倍ワイドアダプター通信販売
http://www.avoc.com/5product/501lense.htm

「ミヂェットレースへの招待」はアメリカで制作された56分のVHSビデオです。収録
されているレースシーンは必見。1周400mのダートトラックをどうすれば12秒でラ
ップできるかがわかります。もちろんメカニズム解説、セッティングの解説も含まれてい
ます。

・ミヂェットレースへの招待ビデオ通信販売
http://www.avoc.com/5product/502video_midget.htm

尚、「ミヂェットレースへの招待」ビデオのダイジェスト版をYRSサイトに掲載してあ
ります。ご覧下さい。
・ビデオクリップ目次
http://www.avoc.com/3media/3auidio_video/top_video.htm

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4) 筑波サーキット公式ドライビングスクール受講者募集中

筑波サーキット(財団法人日本オートスポーツセンター)では2003年も安全にスポー
ツドライビングを楽しむためのプログラムを行ないます。筑波サーキット公式ドライビン
グスクール(TDS)です。過去2年の実績を踏まえみなさまからの要望にそった形で開
催するため、今年からTDSに3つのクラスを設けました。

詳しくはYRSのウェブサイトに掲載してありますが、これからサーキットを走ろうとい
う方にも、サーキットを走る予定はないけれどクルマを正確に運転する方法を知りたいと
いう方にも、レースに出ているけれど勝てるようになりたいと思っている方にも満足いた
だけるカリキュラムを用意しています。

受講申し込みはYRSウェブサイトから行なえます。今年こそクルマの運転に開眼したい
という方はぜひ受講して下さい。

・筑波サーキット公式ドライビングスクール開催案内
http://www.avoc.com/2school/2tds/tds_guide.htm

| また筑波サーキット公式ドライビングスクールを受講されると、筑波ライセンスを取得
| される際にライセンス講習会が免除になります。スクール終了後に筑波ライセンス申請
| 用紙をお渡しします。

・筑波サーキットウェブサイト
http://www.jasc.or.jp/

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5)YRS卒業生へお知らせ

過去にユイレーシングスクール主宰のスクールかイベントに参加された方にDMをお送り
したことがあります。そのときは700余り配信して120件ほどのメールが戻ってきま
した。

ユイレーシングスクールとしては将来のコミュニケーションの手段としてメールアドレス
を保存しておきたいと考えています。99年のODW、00年のTDS、その後のTDW、
TDO、TTT、TS、TE、そして吉田塾に一度でも参加されたことのある方で、YR
SからのDMを受け取って差し支えない場合は下記のフォームから再度メールアドレスを
登録していただけるようにお願いします。

今後YRSからのDMは登録されたアドレス宛てに配信することになります。もちろん登
録されたメールアドレスは有限会社ユイレーシングスクールからのメール送信以外には使
用せず、第三者にも知らせることはありません。

また一度登録された後でメールアドレスが変更になった場合は同じフォームで変更の通知
をしていただけるようお願いします。

・メールアドレス登録フォーム
http://www.avoc.com/7info/7member/7member_apply.htm

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6) アメリカモータースポーツ三昧ツアー

4月に予定しているアメリカモータースポーツ三昧ツアー。参加者が決まりましたので参
加申込みを締め切ります。

今回参加するのは7名。家族で映画を見に行くような感覚で大勢の人があるまるショート
トラックレース(今回はNASCARストックカーレース)を見て、20周も乗ると身体
が痛くなるようなワインディングコースを使ったレーシングカートスクールを受け、NA
SCARストックカースクールでは18度バンクをずり落ちそうになりながらラップを刻
み、最後には5速全開のターンインがあるウィロースプリングスレースウエイを走るとい
う、まさにモータースポーツ三昧のツアーに出かけます。

ツアー後には画像や動画でレポートを掲載する予定です。ご期待下さい。

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7) 筑波ライセンスについて

筑波サーキット公式ドライビングスクールを受講された方は講習会を受けずにライセンス
を申請することができます。今回ご案内するのは2002年の筑波サーキットドライビン
グワークショップ(TDW)、2003年筑波サーキット公式ドライビングスクール(T
DW)を受講された方が対象です。この期間に受講された方でライセンス取得をご希望の
方には申請書類を郵送しますので、以下のアドレスに氏名、年齢、住所、電話番号と受講
した日時を記入の上メールを送って下さい。

mailto:mail@avoc.com

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8) ハウツースタート 何から始めよう

YRSドライビングワークショップ浅間台で使うYRSオーバルの大きさはターンの半径
が16m。コースの長円が100mだからパイロンで作られたオーバルコースの長さは2
36.5mになる。パイロンから2m離れた同じシルエットをクルマの中心が通った場合(
ほとんどの場合もっと大回りをしているが)、1周は約250mになる。おおよその数字
ではあるが、現在のベストタイムが14.230秒なので平均時速に換算すると63.25
Kmになる。この数字は速いのか、それとももっと速く走れるものなのか?

オーバルコースは魔物だ。形状が単純だから、そしてYRSオーバルの大きさではそれほ
ど速度が出ていないから操作が雑になるきらいがある。しかしクルマが走行性能の限界付
近で走っていることには変わりはない。

ロードコースにしろオーバルコースにしろ頑張って走るほどタイムが縮まる可能性は高い。
アンダーステアが出ていようとお構いなしにアクセルをベタッと踏んでいくとか、「もう
駄目」というところまで我慢してブレーキをドッカンと踏むとか、ギリギリのところまで
来てからスパッとステアリングを着るとか。そんな走り方をすれば、クルマのバランスさ
え崩さなければとりあえす速くは走れる。

しかしスポーツドライビングの面白さは同じ速さを得るのに別の方法もあることだ。それ
はクルマの性能をいたるところで100%引き出して走ることだ。速く走るのに運転手が
アグレッシブでなければいけないという法はない。速さを実現するのはクルマであって人
間ではない。ならばクルマのポテンシャルを十分に引き出して走って見るのもひとつの方
法だ。

そして、それが往々にしてアグレッシブとは対極にある走らせ方なのも事実だ。極論すれ
ばいかに少ない操作で、穏やかな操作で周回路を1周してくるかという乗り方だ。もちろ
ん開けられる時にはアクセルは全開にするのに変わりはないが。

できるだけ少ない制動力で高い減速度を実現する。できるだけ少ない舵角でクルマの向き
を変える。そんなことできるはずがないという見方はあるだろう。しかしできないことで
はない。むしろそれができればパッドの消耗は抑えられるしガソリンも使わなくてすむ。
しかも一瞬の判断ミスで危険な状況に陥る可能性も減らすことができる。できるならば少
ない操作で周回することが望ましい。あとは、その「省エネ走法」でいかに「アグレッシ
ブ走法」の速さを手に入れるかだ。

結論から言うと、「アグレッシブ走法」には無駄がつきものだ。例をあげよう。ドッカン
ブレ−キングでは速度が落ちすぎないとは限らない。スパ切りではクルマが失速している
かも知れない。ベタ踏みではせっかくの駆動力が進行方向に活かされてないことが多い。
結果的にそこそこ速くても、それは無駄遣いの賜物(?)であることが多い。うまいドラ
イバーはその操作が早く見えても雑に見えても、少なくとも『その時に必要な最低限の操
作』で走っている人と言っても過言ではない。

刻々と変わるクルマの姿勢からクルマが求めている操作を人間が推し量るのは容易なこと
ではない。だから時として運転手はクルマがその速さで求めている以上の操作をしてしま
うことがある。結果が同じならば、より少ない操作で走ることをYRSは選びたい。所詮、
操作というものはクルマが持つ巨大な運動エネルギーをコントロールすることに他ならな
い。ならば蓄えたエネルギーを殺がないように走るものテクニックだ。

YRSオーバルの良さは短い時間に反復練習ができることだ。乗り手がサーキットのベテ
ランだろうとサーキット未経験者だろうと、周回している間にいろいろな操作を試すこと
ができる。厚いブレ−キングと薄いブレ−キング。クイックなステアリングワークとスロ
ーなステアリングワーク。ベタ踏みと漸進的なスロットル。要は走行中に運転手がオーバ
ルコースがもたらすオプションを使い切るかの問題だ。その意味でオーバルコースは操作
というあいまいな概念を見直すうってつけの機会だと言える。

アグレッシブな走法を否定するものではないが、それがクルマを速く走らせる全てではな
い。さらに速さを求めるのなら。その回答は省エネ走法の中にあることが多い。

過去に米国フォードが発表した資料に興味深いデータがあった。F1を引退してフォード
のコンサルタントになっていたジャッキー・スチュワートと腕に覚えのあるユーザーの走
りを科学的に解析したものだ。コースは日本のものよりかなり大きいがジムカーナ的なも
の。もちろんラップタイムはジャッキー・スチュワートがダントツだった。それは当然と
して驚いたのはスロットルを全開にしている合計時間だった。ジャッキー・スチュワート
がフルスロットルをくれている時間の合計は、一般の人よりも速いはずのどのユーザーよ
りも短かった。同じクルマで同じコースを走る。それでいてスロットル開度が少ないほう
が速い。なんとも衝撃的な事実だ。クルマを速く走らせる方法は何もワイドオープンだけ
ではない。クルマが性能を発揮しやすい状況を用意してあげるのも運転手ができることの
ひとつだ。

YDWAではウォーミングアップを兼ねてYRSオーバルで定常円走行をします。サーキ
ットを走ったことのない方も、自分のコーナリングを見直してみたい方も、ジムカーナの
達人もぜひ参加して下さい。

・YDWA開催案内
http://www.avoc.com/2school/2ydw/ydwa_guide.htm

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9) 温故知信 その6 トム ヨシダ

何度かエンストをしてやるせない気持ちになりながらも、その日の内に誰の手も借りずに
クルマを動かすことはできた。と言っても、実際動かしただけだった。気持ちの中には「
こんなはずじゃない!」と現実を直視したがらない自分がいた。

クラッチをうまくつないでクルマが動き出したと思ったら、真っ直ぐに走ることができな
い。ステアリングホイールを持つ手に力が入っていたのだろう。クルマが自分の意志とは
違う方向に進む。ブレーキをかけて止まろうとするとブレーキに一生懸命になるがあまり
クラッチを踏むのが遅くなってエンジンが止まってしまう。「なぜうまくいかないんだ!」
大人の世界を覗いた嬉しさよりも自分にできないことの戸惑いと悔しさが勝っていた。

どのくらいの時間がたったかわからない。「今日はここまでにしよう。」小僧さんの声で
我に返る。とにかく。夢にまで見たクルマという大人の道具を動かすことはできた。しか
し。それは自分が大人ではないことをいみじくも証明することでもあった。

路面は少し下っているようだ。左手には見上げるようなグランドスタンド。右側にはずら
っと小屋のようなピットがならぶ。ゴーカートが並べられたコースは何本もの道路をくっ
つけたように幅が広かった。下っていくコースの端が1コーナーなのだろうか。遠くに目
をやると何かがキラキラ光っている。「海?」。その時、鈴鹿サーキットがずいぶんと高
いところにあることを知った。

コース上には『ゴーカート』が並べられている。子供を対象にした自動車レース大会だっ
た。もちろん賞金は出ないが、そのころにしては豪華な賞品が用意されていた。鈴鹿サー
キットのメインストレートにパイロンを並べたコースがふたつ。といっても2本のパイロ
ンの間を往復するだけの単純なコース。

ゴーカートは鈴鹿サーキットの東コースを『遊覧』するためのものを使う。鈴鹿サーキッ
トに来たのが初めてなのだからそのゴーカートに乗ったこともない。しかも、周りを見回
せば高校生とおぼしき参加者が多い。競争と言ってもどんな結果になるかわからない。が、
自分の好きなクルマの運転で誰かと競ってみたかった。それだけ。ゴーカートに乗るだけ
なら東山公園にもあった。東京にいる時は豊島園で乗ったこともあった。違うのは他人と
腕試しをすることだった。それがやりたかった。大人に近づきたかった。

前進3段後進ナシ。スーパーカブのエンジンをシートの左後ろに搭載したテックプロダク
ション製のゴーカート。シーケンシャルシフトのマシンを操ったのはそれが最初だった。

練習時間が過ぎいよいよ勝ち抜き戦が始まる。相手は中学生から見ればずっと大人に見え
る高校生。「どうなるのかな?でも本で読んだことがある。クルマの性能、特に加速性能
はパワーウエイトレシオの少ないほうが有利、って書いてあった。体重が軽い分速く走れ
るはずだ。」本によってはパワーウエイトレシオのことを比出力ってかいてあったなぁ、
と妙なことを思いながらステアリングホイールから自然に手をおろしたところに横たわる
シフトレバーを確かめる。

「下り坂になっていますからスタートまでブレーキを踏んでいて下さい。」言われたこと
を反芻しながらシフトノブを押し下げる。押してロー。上げてセカンド、サードだ。

旗が振られる。一瞬自分のほうが先に出た気がした。しかしうまいタイミングでスタート
したはずなのに、次の瞬間横のゴーカートが前に出ていた。「エッ!」とにかくセカンド
に上げサードにシフトアップ。Uターンするパイロンが迫る。ブレーキを踏みながらシフ
トノブをポンポンと押さえつける。セカンド。そして一瞬の間があってロー。ステアリン
グを切って加速するがなんか前に進まない。パイロンを回り終えるとなんと。ライバルと
は明確な差がついていた。「何で?」完敗だった。

参加賞はもらったものの、そのまま帰るのが悔しくてパドックと言われるところをほっつ
き歩いていた。偶然同じ大会に参加した人の会話を耳にする。「やっぱりセカンドでスタ
ートしたの?」「うん。ローだともたつくからな。」彼らはパイロンもセカンドで回って
いた。最高速度を抑えるために、そして駆動力を高めるために極端に最終減速比(スプロ
ケット比)を大きくしたゴーカートは、セカンドからでも十分に発進できたのだ。

悔しさはあった。しかし係員が言った「ローからスタートして下さい。」という説明を無
視した彼らをズルだとは思わなかった。「そうか。そうすればもっと速く走れるのか。」
自分では気づかなかったことがわかった。そのほうがずっとずっと大切なことのように思
えた。

=== この項続く ===

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