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Go − Circuit No.182 (02/19/04発行)

---------------------------------------------------- Taste of USA ----
●クルマを走らせるのは楽しい。速く走らせるのはもっと楽しい。●しかしク
ルマ安全に速く走らせることが難しいのも事実。走らせ方を理解していないと
楽しくもないし危険でさえある。●クルマをもっともっと楽しむために「クル
マさんとの正しいお付き合いの仕方」を学びませんか。●ユイレーシングスク
ールからの提案です。●公道では安全運転を。サーキットではそれなりに。
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1)筑波サーキットドライビングスクールについて
2)ユイレーシングスクール中部地区に進出
3)2004YRS第1戦スプリント&エンデューロ@筑波
4)しのいサーキット公式ドライビングスクール参加申込み受付中
5)YRSドライビングスクール筑波参加受付中
5)臨時YRSオーバルスクール浅間台計画のお知らせ
7)2004第2回YRSドライビングワークショップ成田参加受付中
8)トム ヨシダのドライビングチップス

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1)筑波サーキットドライビングスクールについて

今年筑波ドライビングスクールに参加を予定していた方から電話をもらいま
した。筑波サーキットのホームページに『筑波サーキット公式ドライビングス
クール休止のご案内』が掲載されているが開催されないのか?という内容です。
その方には、あくまでも筑波サーキット公式ドライビングスクールが休止とい
うことなのであって、ユイレーシングスクールが運営してきた筑波サーキット
ドライビングスクールは引き続き開催しますとお答えしておきましたが、この
先同じようなご迷惑をおかけすることのないように簡潔に説明します。
過去、2000年のコース2000を使ったカリキュラムに始まり2001年からは3年
間ジムカーナ場とコース1000を組み合わせたドライビングスクールを運営して
きました。これはユイレーシングスクールが財団法人日本オートスポーツセン
ターから依頼されて開催してきたものです。カリキュラムの設定はもちろん、
運営の一切をYRSが行ってきました。これは日本で理論的な運転を教えるド
ライビングスクールを開校したいというYRSと、ドライビングスクール開催
のノウハウはないけれども運転の指導をすることが事業目的である財団法人日
本オートすぽーつセンターの利害が一致した結果です。
今回、公式ドライビングスクールを休止にした理由をはかるべくもありませ
んが、とにかく両者の関係はいったん清算されることになりました。しかしY
RSとしては日本で最初のスクールを開校以来、一貫して安全にサーキットを
走ることと、モータースポーツの民主化の訴求を推進してきましたから、2004
年もドライビングスクールを開催するつもりでいました。そこで財団法人に日
程をやりくりしてもらって今年は合計12日のスケジュールを確保できたわけ
です。
従って、言うなれば2004年に関してはYRSの単独開催ということになりま
すが、予定されている筑波サーキットドライビングスクールの全日程は開催す
ることに決定しています。

前述の『筑波サーキット公式ドライビングスクール休止のご案内』はあたか
もユイレーシングスクールが主宰するドライビングスクールが開催されないと
の印象を与えかねないものですが、実際には過去3年に1、542名の卒業生
を送り出した実績を誇る筑波サーキットドライビングスクールは存続するとい
うことです。

本来ならば為政者がもっと安全管理に気を使うべきだと思うのですが、それ
ぞれの事情があるようで、この国のモータースポーツのレベルははっきり言っ
てお粗末です。しかしスポーツドライビングに始まるモータースポーツは大き
な危険をはらんでいます。確固たる思想なくしては、安易に人に薦めるべきも
のではないと思います。
今後もユイレーシングスクールは安全に、できる範囲で、しかも大きな負担
なしにスポーツドライビングとモータースポーツが楽しめる環境の構築を目指
していきます。実績のある筑波サーキットドライビングスクールはそのベスト
サンプルです。ぜひ多くの方に、特にサーキットを走ったことのない方に受講
してほしいと願っています。今後ともユイレーシングスクールをよろしくお願
いします。

トム ヨシダ、YRSシニアインストラクター

※財団法人日本オートすぽーつセンターが運営する筑波サーキットの目的およ
び事業は、筑波サーキットホームページにある『JASC』をクリックすると
ご覧になれます。

・筑波サーキットホームページ
http://www.jasc.or.jp/index.vs

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2)ユイレーシングスクール中部地区に進出

4月5日(月)。愛知県作手村にあるモーターランド三河でドライビングス
クールを開催します。詳細は決まり次第ウェブサイトに掲載しますが、中部地
区でユイレーシングスクールの理にかなった運転のしかたを体験してみたいと
いう方はぜひ受講して下さい。カリキュラムはサーキットを走ったことのない
方を対象に設定する予定です。

カリキュラムの概要は次の通りです。
・スレッシュホールドブレーキング練習
・トランジッションブレーキング練習
・コーナリング練習
・オーバルコース走行練習
・ラッピングと計測

モーターランド三河は昨年できた新しいサーキットで、平均速度が高いのが
特徴です。YRSでいうところの改造度5のシルビアで筑波サーキットコース
1000の平均速度が時速83Km前後なのに対し、およそ110Kmになります。
コーナーの数は少ないですが、その分コーナリング速度が高いことになり高速
でクルマがどういう動きをするのかを察知すること、クルマがバランスを崩し
易い高速域の操作を練習するにはうってつけのコースです。
また、モーターランド三河の特色あるレイアウトを利用してオーバルコース
の攻め方の講習も行う予定です。ご期待下さい。

・モーターランド三河ウェブサイト
http://www4.ocn.ne.jp/~mlm/

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3)2004YRS第1戦スプリント&エンデューロ@筑波

2月28日開催の2004年YRS第1戦の筑波スプリントには多数の申し込み
がありました。ありがとうございます。既に申し込み受付は締め切っており、
参加者リストを掲載してあります。 エンデューロはまだ枠があります。参加
を検討している方はお早めにお申し込み下さい。

尚、YRSのイベントはどなたでも無料で観戦することできます。ただ参加
者と観戦者の危険を避けるためガイドラインを設けます。決まり次第告知しま
すが、ハイレベルなYRSのレースを見てみたいと思う方はぜひお越し下さい。

・YRS第1戦エントリリスト
http://www.avoc.com/2school/2yrs/yrs_entry.htm
・YRSエンデューロ規則書
http://www.avoc.com/2school/2yrs/yte_guide.htm

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4)しのいサーキット公式ドライビングスクール参加申込み受付中

今年から東北自動車道宇都宮ICから15分のところにあるしのいサーキッ
トでドライビングスクールを開校することになりましたが、いささか申し込み
が低調です。怖いという評判があだになっているかどうかわかりませんが、し
のいサーキットには高低差があり高速の長いコーナーもありで、フラットなサ
ーキットでは学ぶことのできないクルマの動かし方を体験できます。
予定しているカリキュラムは以下の通りですが、サーキットを走ったことの
ない方にも経験が豊富にある方にも満足していただける内容だと思います。首
都圏から離れていることもあり受講料も低めに抑えてあります。サーキットを
走ったことのない方には、クルマの挙動の肝心なピッチングによる姿勢変化が
たいけんできるので有効です。

カリキュラムの概要は次の通りです。
・スレッシュホールドブレーキング練習
・トレイルブレーキング練習
・トランジッションブレーキング練習
・ヒーローコーナーでの過重移動練習
・ショートコースラッピングと計測
・フルコースラッピングと計測

多くの方の参加をお待ちしています。

・しのいサーキット公式ドライビングスクール開催案内
http://www.avoc.com/2school/2yds/yrs_shinoi.htm
・しのいサーキットワンラップ動画
http://www.avoc.com/3media/3auidio_video/img_audio_video/raceway/lap3_
shinoi.mov
・しのいサーキットショートコースワンラップ動画
http://www.avoc.com/3media/3auidio_video/img_audio_video/raceway/shino
i_short4.mov
・しのいサーキットホームページ
http://www.he-ro.co.jp/

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5)YRSドライビングスクール筑波参加受付中

1年間に9回受講した方がいるのが筑波サーキットドライビングスクールで
す。十分に経験を積まれているのにもかかわらずTDSに幾度となく来られる
理由は、操作の見直しを常に行いたいのと安全に走りたいからだと聞きました。
筑波サーキットドライビングスクールを受講したからといって即速く走れる
わけではありません。速さは受講者それぞれに違います。しかしクルマがどう
いう風に動いて、どう操作するとどう変化するかということについては徹底的
に練習します。今年の筑波サーキットドライビングスクールはカリキュラムの
一部を見直します。概要は以下の通りですので、興味のある方はぜひ受講して
下さい。

カリキュラム概要(入門、上級共通)
・座学(教室)
・定常円走行(ジムカーナ場)
・スレッシュホールドブレーキング練習(以下コース1000)
・トランジッションブレーキング練習
・コーナリング練習
・ラッピング

カリキュラム概要(入門)
・バンライド(コース1000案内)

※ 今年から受講生全員が受信機をつけてリアルタイムアドバイスを受けなが
ら走ることになります。

・YRSドライビングスクール筑波開催案内
http://www.avoc.com/2school/2tds/tds_guide.htm
・YRSコース1000ラップタイム総覧
http://www.avoc.com/4circuit/4circuit_record/t1k/01frame_best.htm

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6)臨時YRSオーバルスクール浅間台計画のお知らせ

どうしても平日に休みが取れない方から休日にオーバルスクールを開催して
ほしいとの声が届いています。スポーツランド浅間台に確認したところ、6月
まで全ての土日、祝日が埋まっていますが、4月4日(日)だけはなぜか空い
ていました。YRSでは開催する方向で検討していますが、受講料などの詳細
が決まっていません。オーバルスクール自体はいつもと同じフォーマットで行
いますので、下記の案内頁の受講料以外を参照して下さい。
今回はYRSオーバルを走ったことのない方を優先したいと思います。詳細
が決まりましたらDMでお知らせしますので、下記のアドレスに『臨時オーバ
ルスクール浅間台産か希望』の件名でメールを送って下さい。先着順16名の
方に参加していただきます。イレギュラーな開催になりますが、平日に参加で
きない方にオーバルコースの楽しさをしっていただくのが目的です。ご了承下
さい。

・臨時オーバルスクール申し込みアドレス
adomini@avoc.com
・YRSオーバルスクール開催案内
http://www.avoc.com/2school/2yos/yosa_guide.htm
・第1回オーバルスクール結果と画像
http://www.avoc.com/2school/2report/report_yosa/0206/0206report.htm

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7)2004第2回YRSドライビングワークショップ成田参加受付中

2月15日。第1回目のYRSドライビングワークショップ成田が無事終わ
りました。昼ごろまでポカポカ陽気でしたが午後から風がでてきて、結局、参
加者は路面温度の上がらないコースとの格闘に終始することに。
それでもコーナーの形状が多彩で路面の摩擦係数も場所によって異なり、微
妙なカントのついていて、なおかつコースの左右で路面の摩擦係数が微妙に異
なる成田モーターランドは、カーコントロールの練習に最適です。初めてサー
キットを走った4名の方が、奥の深いコーナーで先を見据えて高い速度でスロ
ットルコントロールしていたのが印象的でした。
クルマの運転がうまいということはどんな状況でもクルマを正確に操ること
ができるということです。YDWNではサーキットを速く走ることよりもクル
マを正確に意のままに操る素地を養うことに主眼を置いています。少人数制で
行うので質疑応答の時間も十分にあります。サーキットを走るつもりはないけ
れど運転がうまくなりたい方、これからサーキットを走ろうと思っている方に
最適なカリキュラムです。

・第1回YDWNの模様
http://www.avoc.com/2school/2report/report_ydwn/0215/ydwn0215.htm
・YRS成田モーターランドラップタイム総覧
http://www.avoc.com/4circuit/4circuit_record/yrs_narita/frame_narita.h
tm
・YRSドライビングワークショップ成田開催案内
http://www.avoc.com/2school/2ydw/ydwn_guide.htm
・成田モーターランドコースレイアウト
http://www.avoc.com/2school/2ydw/layout_narita.htm

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8)トム ヨシダのドライビングチップス

筑波サーキットドライビングスクールの座学の初めに必ず聞くことがある。
「今までに公道でスピンしたりコースアウトしたことのある人は手を上げて
みて下さい。」「はい。」「ではサーキットを走ったことのある方で、サーキ
ットでスピンしたりコースアウトしたことのある方は手を上げて下さい。」勢
いよく手を上げる人もいれば、そろそろと途中まで手を上げる人もいる。
決して、スピンしたりコースアウトしたことのある人をさらしものにしよう
として聞いているのではない。受講者がどのようにクルマと付き合ってきたか、
その一端を知るために聞いている。
毎回の数字は記録していないが、ではどのくらいの人がスピンやコースアウ
トを経験しているのか?
公道でスピンしたりコースアウトしたことのある人も必ずといっていいほど
いるのだが、やはりサーキットでの『経験者』が多い。今まで60回以上筑波
サーキットドライビングスクールを開催してきたが、『経験者』が最も多かっ
たのは受講者の大半をサーキット走行経験者が占めた回だった。教室にいた3
2名中30名が手をあげた。実に94%。10人いたら、スピンやコースアウ
トをしたことのない人は、その中のひとりでしかない!!!

座学はそこから始まる。
「スピンやコースアウトした時の状況はひとによって様々です。それがサー
キットであったり峠道であったり環境も異なります。ただしどんな場合にもひ
とつだけ共通していることが必ずあります。それは、クルマが入力(操作)通
りの出力(挙動)をしなかったことです。では、なぜ入力と出力に『ズレ』が
生じるのか?それを解き明かすのがユイレーシングスクールの目的です。」

今までにスピンやコースアウトを経験した人でもいい。したことのない人で
もいい。スピンやコースアウトする時、クルマにどんなことが起きているか考
えたことがあるだろうか?
経験者は存外、「アッ、やっちゃった。でもぶつからなくて良かった。」で
終わっているのではないだろうか。経験していない人は「するとやばそうだな。
でもスピンするとクルマはどうなるんだろう。」と恐々としているのではない
だろうか。いずれにしろ結果にしか目が行ってないのは事実だろう。
ところが視点を変えればスピンやコースアウトがあくまでも『入力のしかた
の間違い』の結果であることが容易にわかる。どうしてそうなったか、そうし
てそうなるのかを考えることが安全に走るためには必要不可欠なのだ。しかし
速さばかりが先行する思考回路の中では、『そこにいたるプロセス』が全くと
言っていいほど無視される。だからドライビングスクールが必要なのだ。

ストレートを走っていてスピンやコースアウトする人はめったにいない。何
かが起きるのはコーナーの進入か脱出だ。つまりYRSが教科書で触れている
トランジッションの区間だ。
まずコーナーの進入を見てみよう。スピンやコースアウトをしたことのない
方、あるいはサーキットを走ったことのない方でも、サーキットでのレースや
走行会やテレビなどでクルマがあらぬ方向に向かっているのを見たことがある
だろう。そう。たとえばコーナーの進入であれば、場所や角度こそ違え概ね同
じようなパターンでスピンしたり、コースを飛び出すのがふつうだ。
ではなぜコーナーの進入でスピンするのか?
コーナーは一般的にそのコーナーの手前にあるストレート(長短に関係なく)
よりも通過速度が遅い。当たり前のことだが、だからコーナーに入る前には減
速が必要になる。クルマの動きをコーナーに到達する前から順に見ていくと、
加速から減速に移り減速の最後にコーナリングが始まる。減速の最後とターン
インがどのくらい重なるのか、あるいは全く重ならないのかはコーナーの曲率
や形状によってきまるが、基本的にはターンインの直前までは強い減速度がク
ルマに働いているものだ。
クルマに加速度が加わると過重移動が起きる。それが加速であれ減速であれ
コーナリングによる遠心力であれ、クルマに加速度が働くと過重の移動がおき
る。その結果が姿勢変化だ。減速状態であれば過重は前に移動している。クル
マはノーズダイブというピッチングモーションを起こす。
つまりコーナリングを開始しようとしているクルマは前過重になっているか
ら、フロントタイヤの食いつきが良くなっている。反面、過重が抜けた状態の
リアタイヤに関してはその分だけ食いつきが劣っていることになる。クルマの
ロードホールディングがイーブンスロットルの時に比べ、既にバランスを欠い
ているのだ。それは減速度が大きいほど顕著だ。つまりハードブレーキングを
すればするほど、『クルマが内包するエネルギーのバランス』はいつ崩れても
おかしくない状態に近づくことになる。
ターンイン。今はタイヤの性能が高いからドライ路面でまずまっすぐにコー
スアウトする例はほとんどない。その上、フロントタイヤに過重がかかってい
るからよけいにタイヤは食いつく。だからターンインと同時に多少のオーバー
スピードであろうとクルマはまがり始める。しかし待ってほしい。クルマは前
輪だけで走っているのではない。フロントは運転手の意思通りに回り始めるか
も知れないが、過重が抜けて食いつきの悪くなったリアタイヤはターンインに
よる遠心力が発生したとたんにこらえ切れず滑り出してしまうかも知れないで
はないか。
スピンとは、リアタイヤのスリップアングルがフロントタイヤのそれを大幅
に超えた時に起きる現象にすぎない。フロントタイヤが食いつくからと言って
ステアリングを切っても、その時のクルマの状況によってはリアタイヤがフロ
ントタイヤの軌跡をたどってくれるという保証はない、ということだ。
低い速度では起こらないことが速度を上がるにつれて起きやすくなる。そし
てクルマの状況を無視して操作すればクルマがバランスを崩す確率は高まる。

コーナーの進入でスピンする典型的な例をあげよう。
スロットルを開けている時間が長いほどサーキットでは速く走れると錯覚し
ているから、コーナーに対してギリギリのところまでスロットル全開。全開に
していればクルマは加速状態にあるわけで、加速度的にコーナーが近づく。ブ
レーキを踏まなければ間に合わない、というところでガツンとブレーキを踏む。
過重が完全に前に移動する前に制動力が働くからフロントのグリップの増加よ
りもリアのグリップの損失が大きくなってしまう。同じ頃、もうステアリング
を切らねばとばかりエイヤッでステアリングホイールを回すから、かろうじて
過重のかかり始めたフロンとタイヤは食いつきインに切れ込もうとするが『食
いつかない』リアタイヤはクルマに残っている直進エネルギーに負けコーナー
の外に向かって進んでいく。そしてスピン。
この間に、先に述べたことがクルマには起きている。つまり、クルマがスピ
ンするということはクルマがバランスを崩した結果であり、さらに言えば瞬間
的にフロントタイヤのスリップアングルがリアのそれに比べて過大になったか
らに過ぎない。
だ>か>ら。スピンの原因を単にオーバースピードで進入したからとするの
は正しくない。オーバースピードで入ってもスピンしない人もいる。逆にそれ
ほどのスピードではないのにスピンする人もいる。進入でスピンするかしない
かは、ターンインからのクルマの動きがバランスを欠いているかどうかだけで
決まる。
この視点から見ればわかるだろう。スピンする人はクルマの『バランスを崩
す』ような操作をしているということだ。クルマの状態を無視した運転をして
いるからだ。その理由が、自分がどうなってもいいと思って運転しているのか、
それとも誰かにそうしろと教わったのか、あるいは『クルマの動きを感じる感
性』が欠如しているのか、どこに起因しているのかはわからない。しかし、そ
の人がクルマの状態、特にバランスに気を配らないで走っていることだけは確
かだ。

* * * * * * * * * * *

サーキットを走るクルマに何かが起きた時、さかのぼって考えれば対処のし
かたが見えてくるものだ。なぜバランスを崩す結果になったのか?進入速度、
減速度、ターンインの位置、ステアリングの切り方等など。要素が多すぎて正
確に解析することは不可能でも、人間には入力と出力の『ズレ』を修正する能
力は備わっているはずだ。サーキットに限らず運転している時には自分の操作
をはなから信じてはいけない。クルマは(ちゃんと整備されていれば)信じて
もいい。
だけれども、自分という人間の能力は信じたほうがいい。ここが大切だ。ス
ピンを繰り返す人は、実のところ、自分を大切にしていない人なのではないか
とさえ思う。
公道であろうとサーキットであろうと、スピードを出さなければ安全だと思
うのは間違いだ。スピードを出すから危ないのではなくて、スピードを出した
時に自分が何をすべきかがわかっていないことが危ないのだ。

クルマは決して危険な乗り物ではない。速く走ることに特殊な技能が必要な
乗り物でもない。確かに速く走ることが苦手な人もいるかも知れないが、だれ
でもクルマの動きに合わせた操作ができるようになれば少なくとも安全には走
れる。安全に走ることに慣れてしまえば、どんな速度域でもクルマの動きがわ
かるから速度を上げても憶測ではなく確信を持って操作することができる。

<この項続く>

・ユイレーシングスクール教科書
http://www.avoc.com/1drive/1textbook/1text00.htm

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