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Go − Circuit No.191 (06/21/04発行)

---------------------------------------------------- Taste of USA ----
●クルマを走らせるのは楽しい。速く走らせるのはもっと楽しい。●しかしク
ルマ安全に速く走らせることが難しいのも事実。走らせ方を理解していないと
楽しくもないし危険でさえある。●クルマをもっともっと楽しむために「クル
マさんとの正しいお付き合いの仕方」を学びませんか。●ユイレーシングスク
ールからの提案です。●公道では安全運転を。サーキットではそれなりに。
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1)YRSオーバルレース第一戦
2)YRSバラエティオブスクール参加申し込み受付中
3)YRSエンデューロ筑波
4)7月10日筑波スプリント&エンデューロ申し込み受付開始
5)YRSドライビングスクールFUJI開校
6)トム ヨシダのドライビングチップス
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1)YRSオーバルレース第一戦

6月13日。記念すべき日本初のペイブドショートオーバルレースが行われ
た。参加したのはロードスタークラスが18台。他に4台のSタイヤ車両(S
クラス)と6台のラジアルタイヤ車両(Nクラス)の計28台。
この日はあいにくの雨。前夜強く降った雨は小降りにかわったものの路面は
完全なウエット。FISCOのジムカーナ場はキチンと作られているだけあっ
て水はけがいいから冠水こそしてはいないが、タイヤで作られた1周315m
のコースには水膜が張っている。
そのためスケジュールを変更しウエット路面での走行練習を追加。予報では
午後から晴れだが、万が一路面が乾かない場合にウエットレースをやるための
準備。SクラスとNクラスに続いてロードスタークラスが練習。その後、まだ
路面はウエットだが車両の性能差の少ないロードスタークラスの予選に移る。
1台ずつコースインし1周のウォーミングアップに続いて2周のフライングラ
ップ。参加者全員がYRSオーバルスクールの卒業生だけあって濡れている路
面でもクルマを前へ前へと進める。正式な予選順位は2週計測したうちの速い
ほうのタイムを元に決まる。1周目に速い人。2周目のほうが速い人。結局1
5秒723を記録した越後徹也さんが予選1位を獲得。プラクティスデーのド
ライコースで記録したベストタイムが15秒122。ドライとウエットの差は
コンマ6秒しかなかった。
この頃には雨も上がり残すはコース上の水膜だけ。SクラスとNクラスの予
選を前に参加車がコースに入って路面の水を掃くドライアップを実施。イン側
の部分から外側に水を押し出すようにタイヤで軌跡を作る。レースではないが
13台ものクルマがコース上を周回する様はまさに圧巻。しばらく走っている
とコース上の光っている部分はほとんどなくなり路面があらわになる。こうな
ればしめたもの。完全に乾くまでに時間はかからない。
案の定、SクラスとNクラスの予選はドライ。SクラスではRX−7を駆る
細野洋行さんがYRSオーバルFIJI初走行ながら歴代1位の13秒519をマ
ーク。S2000の若山牧雄さんはプラクティスデーのタイムを100分の2
秒縮めたが惜しくも2位。
Nクラスではプラクティスデーのタイムをコンマ43短縮したRX−7の新
妻由規さんが14秒381で予選1位。重く大きいスープラを上手く走らせた
緑川剛さんが14秒921で2位。特筆すべきはノーマルのインテグラのタイ
ム。予選は6台中5位だったが久保征司さんの記録した15秒683はパワー
こそ劣るもののテクニック次第ではターボ車と互角に戦える速さ。
コースが乾いてからは予定通りスケジュールは進み、ロードスタークラスと
Sクラスが3ヒート+ファイナルヒート(コンソレーションレース)、Nクラ
スが2ヒート+コンソレーションレース+ファイナルヒートを戦った。当日の
レポート、結果は以下の頁に詳しいが、結論から言えばYRSオーバルレース
は大成功だった。

主催者の観点から見れば、雨の多い日本で行うオーバルレースに一抹の不安
があったものの、水はけの良い路面でコース幅が十分にあればウエットレース
が可能なことがわかった。(バンクのついているアメリカのオーバルではコー
スのイン側が必然的に低い。いかにアウト側ウォールに工夫を凝らしてもコー
ス上に「川」ができるのを避けられない。雨がやんでも「川」は流れ続ける。
だからアメリカでは原則ウエットレースは行わない。)
ドライバーの視点から見ればどうか。これほど面白いレースはないことがわ
かったという声を聞くことができた。確かに集中力を持続するのが疲れる。一
瞬の迷いで結果がひっくりかえる。もっとできることがあるはずなのに自分で
限界を決めてしまっている、等など。オーバルレースの難しさに対する意見は
様々だったが、どれもオーバルレースを否定するものではなかった。
『クルマを道具として速さを勝ち負けの絶対要因とする』モータースポーツ
の中でオーバルレースは最もプリミティブでスポーツ性の高い競争形態だ。そ
こではライバルと戦う前に自分自身に打ち勝たなければならないというスポー
ツ本来の思想が生きている。
ロードレースやドラッグレース、はてはオフロードレースがあってもいい。
しかし速さに人間の占める比重の高いオーバルレースもあったほうがモーター
スポーツ全体のバランスが取れる。それがYRSがドライビングスクールに楕
円形の定常円練習を持ち込み、オーバルスクールを開催し、オーバルレースへ
と発展させた理由だ。
大げさではなく、この日、日本のモータースポーツは新たな局面へと踏み出
すことに成功した。まだまだ吹けば飛ぶような規模ではあるものの、その先に
はもっともっとクルマの運転を楽しむことつながる世界があるはずだ。最後に、
日本では得体の知れなかったオーバルレース第1戦に参加していただいた28
名の方に心からお礼を申し上げたいと思う。
トム ヨシダ

・YRSオーバルレース第1戦レポート
http://www.avoc.com/4circuit/4circuit_report/report_yorf/yorf0613.htm
・YRSオーバルシリーズポイント表&歴代ラップタイム
http://www.avoc.com/4circuit/4circuit_record/oval_yosf/yosf_frame.htm

| 次回のyRSオーバルレースは8月7日(土)です。暑い盛りですがヒー
| トレース形式で進行するオーバルレースはクルマへの負担が大きくありま
| せん。YRSオーバルスクールを受講された方はぜひご参加下さい。また
| YRSオーバルレースに出てみたいと思われる方は、スケジュールを確認
| してYRSオーバルスクールを受講して下さい。

・2004YRSカレンダー
http://www.avoc.com/2school/2schedule/schedule2004.htm

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2)YRSバラエティオブスクール参加申し込み受付中

■6月30日(水)YRSオーバルスクール浅間台
運転の上達に欠かせないトランジッションを習得するのにうってつけなのが
YRSオーバルスクールです。サーキットを走ったことのない方でも参加する
ことができます。楽しみながらクルマとの一体感が体験でき、クルマの限界を
引き出すコツを習得できます。どこまでやっていいのか、どこでやえmるべき
なのか。クルマの操作の「見切り」が養われること確実です。リアルタイムの
アドバイスを受けることによりブレーキングからターンイン、ターンインから
コーナリングへの理想的なトランジッションを体験することができます。
※卒業生はYRSオーバルレースに参加することができます。

・YRSオーバルスクール浅間台開催案内
http://www.avoc.com/2school/2yos/yosa_guide.htm
・参加申込者数確認
http://www.avoc.com/app/check_yos.cgi
・YRSオーバル浅間台歴代ラップタイム
http://www.avoc.com/4circuit/4circuit_record/oval_yosa/frame_yosa.htm

■7月3日(土)YRSオーバルスクール富士

定員に達したため申し込みを締め切りました。
次回の開催は8月28日(土)です。ご参加をお待ちしています。

■7月29日(木)筑波サーキットドライビングスクール入門クラス

今年も半年が過ぎようとしています。例年より回数の少ない筑波サーキット
ドライビングスクールですが、それでも6月までの6回で167名の方が受講
されました。今年で5年目を迎えたYRS筑波サーキットドライビングスクー
ルは、当初より一貫して理にかなった方法でクルマの運転ができるようになっ
ていただくことを最優先に開催してきました。クルマの運転に興味のある方は
ぜひ受講してみて下さい。間違いなくクルマとの距離が近づきあmす。

○ 筑波サーキットドライビングスクール入門クラス
主にサーキットを走ったことのない方を対象にしたカリキュラムです。もち
ろんサーキットの走行経験のある方にも有効な内容となっています。教室での
座学に始まりジムカーナ場での定常円旋回、コース1000に移動して実際に
サーキットを走ります。最後に計測を行い受講者各自の速さの基準を設定する
というカリキュラムになっています。1日を通じてインストラクターと質疑応
答の時間は十分にありますから、ふだん抱えている疑問を解くのにも有効です。
基本的にどんなクルマでも参加できます。ワンボックスでもワゴンでもかま
いません。サーキット走行に耐えられるよう通常の整備が行われていれば参加
できます。オープンカーの場合もロールバーを装着する必要はありません。幌
を閉めるかハードトップを装着すればコース1000の走行も可能です。
これからサーキットを走ろうとしている方、あるいはサーキットを走る予定
はないがクルマの運転というものについて合理的な理解を深めたいtおいう方
は参加してみて下さい。シニアインストラクターの運転にまつわる話を聞くだ
けでも受講料を払う以上の価値があります。

・ 筑波サーキットドライビングスクール案内頁
http://www.avoc.com/2school/2tds/tds_guide.htm

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3)YRSエンデューロ筑波

ユイレーシングスクールはクルマの運転にまつわる新たな価値観の提供を目
指しています。YRSドライビングスクール受講者を対象にしたレースの開催
もその一環として位置付けています。筑波サーキットコース1000でのレー
スはオープンの翌年から始めた筑波エンデューロと筑波スプリントがあります。
今年4年目に入った筑波エンデューロの記録からその歴史を振り返ってみよう
と思います。

2001年4月。第1回の参加は7台。筑波エンデューロの歴史で唯一の軽
自動車の参加があったのもこのレースです。レースは120分の時間レース。
キッチンタイマーでピットストップ時間を規制する方法は現在と変わりません
が、1回のピットストップ時間が3分でした。実質的には111分でどれだけ
遠くまで走ることができるかというレースでした。優勝したのはターボエンジ
ンを搭載したスカイライン。当時は無給油でレースを走り終えるルールでした
から燃料が持つかどうかが最大の関心ごとでした。しかし懸念するほどのこと
はなく111分で135周を走破。ピットインの周のラップタイムとピットス
トップ時間を除いた平均ラップタイムは49秒392。ベストラップは27周
目に記録された46秒394。最後のコラムにある単位とは時間あたりの周回
数を表しています(周回数÷111×60、あるいは周回数÷122.5×6
0)。1回目の数値は72.97。全開で走っている時の速度を維持すること
ができれば1時間に筑波サーキットコース1000を何周できるかという目安
です。全てはここから始まります。

この年の第2戦。参加は9台に増えました。と言ってもうち1台にはチーフ
インストラクターがひとり乗りで120分を走るという番外編でした。スカイ
ラインに加え、この回から参加してきたシビック。NAエンジンと軽量化した
ボディのおかげで高いペースを維持しながら走行することが可能でした。結局
シビックが同じ時間を走行しながら第1戦のスカイラインよりも6周多い14
1周を走破。単位時間あたり周回数も76.22に。このレースではトップ争
いに加わっていたロードスターが最後の最後でガス欠。ドライバーがクルマを
押しながらゴールというドラマもありました。周回数優先ではなくチェッカー
優先の時間レースだからこその展開でした。
以後、翌年までスカイライン対シビックの争いが続きます。基本的には動力
性能の優るクルマが順当に上位に入るという流れで、参加者が120分で走る
距離にも大きな開きはありません。
筑波エンデューロシリーズが動いたのが2002年最終戦。一人で120分
を走ってみたいという希望があり実際に走ってもらったレースです。クルマは
S2000.圧倒的な動力性能ですからトップを走るのは当然のことのように
思えますが、無給油で走るとなると話は別。それなりの走り方をしなければな
りません。しかし結果はやはりS2000の優勝。一人で120分をコントロ
ールしながら走りきった努力の賜物です。特筆大書きすべきは2位に入った件
のスカイライン。1位にはなれませんでしたが堂々の143周を走破しての入
賞です。同じ仕様のクルマが足を伸ばす。それは、まぎれもなくドライバーの
意識と運転テクニックの向上がもたらした結果です。

翌2003年にはレース規則に変化がありました。レース時間がそれまでの
120分から130分に延長されたのです。規定の3回ピットストップは同じ
ですからコース上にいる時間がながくなったのです。延長されたレースの1回
目を制したのは、これまた一人で130分を走りきったドライバー。しかもク
ルマが速くても絶対に燃料が持たないと言われていたインプレッサ。YRSエ
ンデューロの歴史の中でもひときわ輝く殊勲です。
こうして筑波エンデューロにでは様々な挑戦が行われることになります。経
験の深いドライバーを軸に若手があつまってチームを組み、どこまで距離を伸
ばすことができるかに腐心してみたり。速さの拮抗している者同士がチームを
組みお互いを高めあってみたり。それはレースに勝つという単純な目的ではな
く、クルマの性能をできるかぎり引き出して走り続ける工夫をすること。ハー
ドに頼るのではなく人間の努力でクルマを生かす、というYRSエンデューロ
の精神の発露に他なりません。
その昔(!)、全開にすると燃料が持たないと言われていたロードスタ−で
すが、今や速いクルマに伍して160周を走ります。3年前の第1戦で2位に
入ったロードスターの周回数は134周。単位数値は72.43から78.3
7に跳ね上がります。クルマだってこれだけ走ってもらえば嬉しいに違いあり
ません。

今、YRSエンデューロはだれでもが気軽に運転の楽しさを味わうことので
きる場として4年目を迎えています。ぜひ多くの方にクルマを操る楽しさを味
わっていただきたいと思います。速さは関係ありません。クルマの性能と自分
の意識と運転技術にどう折り合いをつけるか探ることこそエンデューロに参加
する目的です。みなさんのご参加をお待ちしています。

日時 車両 周回 所要時間 平均 ベスト 単位
01/04/28 スカイライン 135 2:00'46"503 49.392 46.394 72.97
01/06/09 シビック 141 2:00'06"380 47.245 45.566 76.22
01/08/18 シビック 142 2:00'45"363 47.017 44.482 76.76
01/10/13 シビック 141 2:00'37"361 46.690 44.162 76.22
02/03/02 スカイライン 141 2:00'26.009 47.178 44.817 76.22
02/05/11 スカイライン 136 1:58'29"765 49.238 46.071 73.51
02/07/13 スカイライン 139 2:00'42"643 47.690 45.431 75.14
02/08/04 スカイライン 139 2:00'40"466 47.653 45.430 75.14
02/10/12 S2000 145 2:00'35"401 46.725 44.629 78.38
03/01/19 インプレッサ 154 2:10'16"050 46.945 44.729 75.43
03/03/08 MR2 153 2:10'07"849 47.253 44.783 74.94
03/05/10 CRX 157 2:10'33"246 46.024 43.498 76.90
03/07/05 サクソ 155 2:10'39"226 46.784 44.729 75.92
03/11/24 S2000 155 2:10'35"687 46.533 43.792 75.92
04/02/28 S2000 161 2:10'34"240 45.622 43.292 78.86

※YRSエンデューロでは練習を兼ねた予選の後、決勝レースまでにガソリン
を満タンにすることができます。しかし一部の動力性能の高い車両(例:S2
000など)は主催者の判断により給油ができません。従って、レースに出走
する全ての車両がタンクいっぱいの燃料を使えるわけではないことを付け加え
ておきます。

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4)7月10日筑波スプリント&エンデューロ申し込み受付開始

YRS筑波エンデューロと筑波スプリントの参加を受け付けています。参加
を予定されている方はお早めにお申し込み下さい。

YRS筑波エンデューロにお一人で参加される場合は参加費割引きの特典が
あります。希望される方はメールでお問い合わせ下さい。

・問い合わせメール
mail@avoc.com
・YRSエンデューロ規則書
http://www.avoc.com/2school/2yrs/yte_guide.htm
・YRSスプリント規則書
http://www.avoc.com/2school/2yrs/yts_guide.htm

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5)YRSドライビングスクールFUJI開校
| ご期待下さい。
いよいよ多摩川以西でのユイレーシングスクールが始まります。舞台は全長
は短めですがアップダウンありブラインドコーナーありのFUJIスピードウエイ
ショートコース。カリキュラムは筑波ドライビングスクールと同様に午前中を
ジムカーナ場での定常円練習に使い、午後からのショートコースでは高速から
のブレーキングが要求されるコースに合わせてブレーキング練習。逆バンク気
味のコーナーを攻略するためのリードフォローを行い、最後にラッピングを行
います。ご期待下さい。

8月 2日(月) YRSドライビングスクールFUJI
9月15日(水) YRSドライビングスクールFUJI
10月18日(月) YRSドライビングスクールFUJI

・YRSドライビングスクールFUJI開催案内
http://www.avoc.com/2school/2yds/yrs_fisco.htm

またドライビングスクールFUJI開催日の午前中にはYRS卒業生を対象
とした走行練習を行います。午後にはジムカーナ場の44x104mオーバル
を使ったオーバルスクールを開催します。こちらはどなたでも参加することが
できます。

| 同じ日に両方のプログラムに参加される方には参加費と受講料の割引きが
| あります。希望される方はメールでお問い合わせ下さい。

・問い合わせメール
mail@avoc.com
・FUJIスピードウエイショートコース練習走行会案内
http://www.avoc.com/2school/2yds/yrs_fisco_lap.htm
・YRSオーバルスクールFISCO開催案内
http://www.avoc.com/2school/2yos/yosi_guide.htm

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6)トム ヨシダのドライビングチップス

アンダーステアの話とタイヤの性能 その2

アンダーステアにもいろいろある。コーナーの進入。コーナリング中。コー
ナーの立ち上がり。ここではコーナーの進入におけるアンダーステアを理論的
に解明する。アンダーステアとは『旋回中にフロントタイヤのスリップアング
ルがリアタイヤのそれよりも大きい』状態と定義できる。
これはどういうことか。現象から見れば、曲がるはずのフロントタイヤが曲
がらずにそれまでたどって来た方向に進もうとし、リアタイヤは同じく旋回運
動を起こす気配もない、ということになる。

リアタイヤには操舵装置がついていなから、リアタイヤはコーナリングを始
めたフロントタイヤに追随する形で初めてスリップアングルを発生する=コー
ナリングを始める。すなわちコーナリングの初期にはフロントタイヤがまず円
運動を開始しなければ、何も始まらないということだ。ターンインの瞬間にフ
ロントタイヤが曲がらず外に逃げるのは、つまるところそのクルマがコーナリ
ングを開始したことにはならないということだ。
百歩譲ってクルマのノーズの向きが変化することをとらえて「コーナリング
が始まった」ことにしよう。しかし、そのターンイン速度はそのクルマの本来
のものでは決してない。『切る時』が遅いのか『切ってから』が遅いか、いず
れにしろ速くはない。

なぜフロントタイヤが逃げるのか。舵角が与えられた時点で本来ならばフロ
ントタイヤは、多少のズレこそあるもののホイールの向いている方向に回転を
始めるのが自然だ。フロントのスリップアングルが大きいということは、舵角
とフロントタイヤの進む方向に大きな隔たりがあるということだ。
ハイグリップタイヤの功罪は、ある程度までは『大きすぎる隔たり』があっ
てもとりあえずは曲がり始めてくれることだ。これは確かに操作ミスを補完す
る意味からは安全だ。しかし本来は曲がるはずのない操作でも曲がってくれて
しまうから、操作の良し悪しを検証することが難しい。Sタイヤを履いていな
がら当初の速さを手に入れられない場合がこれにあたる。

どうすればフロントタイヤが逃げるのを防ぐことができるか。逆に言えば、
どうすればフロントタイヤが逃げない範囲でしかも高い速度でターンインする
ことができるのか。むろんできる。それにはフロントタイヤのグリップを運転
手が人為的に加減することだ。
考えてみればわかる。ターンイン直前の運転手はどんな操作をしている?そ
の時クルマはどんな動きをしている?その時フロントタイヤはどんな状態にあ
る?その状態から運転手が曲がりたいだけステアリングを切ったら、クルマが
向きを変え始める保証はあるか?答えはノーだ。
曲がるかも知れないし、曲がらないかも知れない。「断じて曲がる」ではな
いのだ。フロントタイヤが受ける『エネルギーの変化量』を吸収できれば曲が
るであろうし、吸収できなければ巨大なエネルギーに負けて『曲がらずに進む』
しか道はない。
これはいかに高性能のタイヤでも同じだ。常に曲がるとするならば、曲げる
時の速度が遅いのだろう。

クルマを直線運動から円運動に変える。これがターンインの時にクルマに起
きている現実だ。それを実現するのはフロンとタイヤの許容範囲内でクルマを
曲げ始めなければならない。しかし、だからと言って遅い速度でターンインす
る必要はない。フロントタイヤには元々のグリップがあるのだから、最低限そ
のグリップの全てをコーナリングに生かせるようなターンインをすれば済むこ
とだ。慣れてきたらフロントタイヤのグリップをオリジナルのそれよりも高め
ながらターンインをしてやっればいい。肝心なのはクルマの運動法則を無視し
た操作をクルマが受け付けないことを自覚すること。そしてどこまでフロント
タイヤの許容度があるか実際に試してみることだ。その上でより速い速度でタ
ーンインをする方法を探るのが理にかなった運転と言うものだ。

アンダーステア、オーバーステアというのはその昔、クルマの走行特性を表
す言葉として使われてきた。だが自動車技術の進歩にともなってクルマの特性
は穏やかになった。結果として誰でもが簡単に速く走ることができるようにな
った。今、操縦特性を形容する旧来の言葉は、本来の主旨を逸脱して運転者が
行った操作の結果を示すことに使われている。果たして、人間にとってそれが
進歩なのか後退なのか。

* * * * この項終わり * * * *

コーナーの進入が遅いと感じている方やタイヤのショルダーがどうしても丸
くなってしまう方はYRSオーバルスクールを受講されることをお勧めします。
受信機からのリアルタイムアドバイスでアンダーステアを発生させずに高い速
度でコーナーに進入する方法をお教えします。
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